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講座 英語論文を読む・13
さまぎまなハイリスク群および非A非B型肝炎が疑われる患者間におけるC型肝炎ウイルス抗体
著者: 弘田明成1
所属機関: 1駒沢病院内科
ページ範囲:P.68 - P.69
文献購入ページに移動 C100-3を抗原としたELISA法を用いて4,000検体の血清中の抗C型肝炎ウイルス抗体を測定した.輸血後に非A非B型肝炎となった患者108名の38.9%がHCV抗体を有した.原因不明の慢性肝障害患者316名中30.4%が抗HCV抗体陽性であり,さらにトランスアミナーゼが一過性にまたは慢性的に上昇した2,506名の患者の14.8%にHCV抗体が認められた.26名中65.4%が抗HCV抗体陽性であった血友病患者と46名中56.5%が抗HCV抗体陽性であった薬物中毒者は,ハイリスク群の中でも最も高い浸透率を示した.薬物濫用で瀕死の患者216名とHIV陽性者127名において,それぞれ抗HCV陽性者が37.5%と26.0%であった.透析患者331名中HCVに対する抗体を有するものが12.4%であった.医療関連従事者の間では抗HCV抗体陽性率がわずか2.8%にすぎず,比較的リスクが低いように思われる.今までのところでわれわれが調べた46症例においては,HCVの家族間感染は一例も発見することができなかった.したがって,汚染体液ないし血液によるHCVの感染力はB型肝炎ウイルスやヒト免疫不全ウイルスタイプⅠのキャリアのそれらよりは低いものとわれわれは考えている.
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