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文献詳細

雑誌文献

検査と技術20巻11号

1992年10月発行

文献概要

講座 英語論文を読む・22

ネフローゼ症候群の高脂血症に対する菜食主義者の大豆ダイエットの効果

著者: 弘田明成1

所属機関: 1駒沢病院内科

ページ範囲:P.914 - P.915

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 持続性の蛋白尿を伴うネフローゼ患者はアテローム性動脈硬化症を促進したり,腎疾患の悪化をさらに速く進行させたりするさまざまな脂質代謝異常を併せ持つことが多い.われわれはこれらの患者にみられる高脂血症が,食餌の操作だけで改善することができるかどうかを究明することを試みた.
 それぞれの患者を通常食で8週間の基礎コントロール期間を経た後,長期にわたって持続した高度の蛋白尿(5.9±3.4g/24時間)および高脂血症(平均コレステロール8.69±3.34mol/l)を伴う20名の未治療の慢性糸球体疾患患者に8週間にわたって菜食主義者の大豆食を摂食させた.この食事は脂肪(総カロリーの28%)と蛋白質(0.71±0.36g/kg理想体重/日)が少なく,コレステロールがなく,そして一価不飽和と多価不飽和脂肪酸(多価不飽和酸/飽和酸比2.5)および線維(40g/日)が豊富であった.この食餌療法期間後に患者には再び8週間にわたって通常の食事を8週間食べさせた(洗い出し期間).大豆食期間中血中コレステロール(総,低比重,高比重リポ蛋白),アポリポ蛋白AとBは有意に低下したが,中性脂肪濃度には変化がなかった.尿中蛋白排泄は有意に低ドした.すべての脂質分画濃度および尿蛋白の量は洗い出し期間中にもとの量に逆戻りする傾向にあった.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1375

印刷版ISSN:0301-2611

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