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文献詳細

雑誌文献

検査と技術20巻11号

1992年10月発行

文献概要

生体のメカニズム ホルモン・10

膵臓—血糖の調節

著者: 島健二1

所属機関: 1徳島大学医学部臨床検査医学

ページ範囲:P.917 - P.920

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はじめに
 生体内環境の恒常性(ホメオスターシス)は生体の存続にとって重要で,この崩壊は死を意味するといっても過言ではない.したがって,多くの生体内成分の血中濃度の変動は比較的狭い範囲に限られている.血糖値は中枢神経系の重要なエネルギー源であるため,恒常性が特に厳密に保たれている生体成分の1つである.この恒常性を維持するために,生体は多くの機構を準備している.糖質の消化,吸収に関係する機構,肝臓での糖の同化,放出を規制する機構,末梢組織での糖利用をregulationする機構などがそれらである.これらの機構の働きを調節し,血糖値をあるレベルに維持するのに多くのホルモンが関与している(図1).このうち,糖の利用を促進し,肝からの糖放出を抑制することによって血糖値を低下させるホルモンはインスリンただ1つで,他のホルモンはいずれも血糖上昇性に働く.この事実を,目的論的に考えると,生体は低血糖にならないよう幾重にもガードされており,低血糖が生体の存続にとっていかに重大事であるかということを示唆している.本稿ではこれらホルモンのうち,特に膵ホルモン,インスリン,グルカゴンに的を絞って論ずることにする.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1375

印刷版ISSN:0301-2611

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