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文献詳細

雑誌文献

検査と技術20巻12号

1992年11月発行

トピックス

疥癬

著者: 増澤幹男1

所属機関: 1北里大学医学部皮膚科

ページ範囲:P.1033 - P.1034

文献概要

1.病因と感染経路
 疥癬はヒゼンダニによる病気であるが,一般的なダニが吸血だけを目的で皮膚を刺すのと異なり,このダニは皮膚に住みつき,そこで繁殖する.したがって,極めて強い感染力がある.成ダニは約0.4mmの大きさでほぼ球形.表面に多数の刺状の突起を有し,4対の足を持っている.オス,メスの区別は第4対目の足の形態が吸着肢か,ひげ状かで見分けられる(図1)1).成ダニのメスは皮膚の角層下に寄生して,1日1ないし2個の卵を約1か月産み続けながら,角層下にトンネルを形成する(疥癬トンネル)(図2)1).卵は幼虫から前若ダニ,後若ダニを経て1〜2週間で成ダニになる.一方,オスダニはその一生のほとんどを皮膚表面で過ごし,交尾は夜間体表面上で行われるとされている.平均寿命はオスダニで1か月であるが,メスダニは数か月と長く生存する.感染経路は皮膚から皮膚が最も起こりやすいが,下着や寝具類を介しても容易に感染する.特に夏の高温多湿の時期では皮膚外での生存日数が伸びることから感染も容易である.感染しても通常2週間から1か月の潜伏期間がある.
 疫学的には1975年ごろの大流行までは約30年周期で流行した.その理由は未感染者の数が増加する時期に再び流行するためだといわれている.しかし,それ以後は慢性的な流行となっており,罹患者数も増加の一途をたどっている.当科でも年50〜100例の患者が受診する.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1375

印刷版ISSN:0301-2611

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