検査と技術20巻13号

1992年12月発行

今月の表紙

肺の小細胞癌と大細胞癌

著者： 諸（前川）傑¹ 町並陸生¹

所属機関： ¹東京大学医学部病理学教室

ページ範囲：P.1058 - P.1058

　肺の小細胞癌の多くは肺門部に発生し，縦隔に直接浸潤して，発育が早い．組織学的には，燕麦細胞型と中間細胞型とに分けられる．リンパ球に似た小型円形ないし紡錘形細胞が肉腫様に増生する．左上の図は，燕麦細胞型の小細胞癌で，核分裂像がよくみられる．画像解析装置で，核を緑色調に変換させたものが右上の図で，腫瘍細胞核の平均面積値は36.015μm²であった．
　肺の大細胞癌は，大型の腫瘍細胞が重層扁平上皮様の構造や管腔形成などを示さないで増生するのを特徴とする．粘液形成型，粘液非形成型および巨細胞型に分けられている．左下の図は大細胞癌で，巨大な多核巨細胞や，比較的小さい癌細胞が混在して増殖している．上記と同様に，右下の図は組織学的計測のため核を緑色に変換したもので，腫瘍細胞核の平均核面積値は86.87μm²である．大細胞癌の核面積は小細胞癌のそれより約2倍以上大きいことがわかった．