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文献詳細

雑誌文献

検査と技術20巻13号

1992年12月発行

文献概要

トピックス

FABP

著者: 小野輝夫1

所属機関: 1新潟大学医学部第二生化学講座

ページ範囲:P.1118 - P.1119

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 FABPはサイトゾールに存在するfatty acid binding protein(FABPc)のことで,分子量約40kdの細胞膜にあるFABPmとは区別される.FABPcは細胞質に比較的豊富(0.2〜0.4mmol/l)に存在する低分子蛋白(分子量14〜15kd)で,長鎖脂肪酸をリガンドとしている.この蛋白は細胞種により異なった分子種が発現されており,現在,肝型(L-FABP),心筋型(H-FABP),腸型(I-FABP),脂肪細胞型(aP2),シュワン細胞型(myelin P2)などのほか,ガストロトロピン,mammary derived growth inhibitor(MDGI),I-15Pが知られる.さらにこの蛋白群はmultigene familyを形成し,その中にはレチノール,レチノール酸と結合するcellular retinol binding protein(CRBP),cellular retinoic acid binding protein(CRABP),CRBP-IIも含まれる.これらの蛋白群はmyelin P2proteinsuperfamilyと呼ばれ,同じ祖先遺伝子から進化したものと推定され,遺伝子構造は共通に4つのエクソンと3つのイントロンから成る.脂肪酸結合蛋白と呼び,キャリアー,転送蛋白などと呼ばないのは,これまで脂肪酸の転送やトランスロケーションを明確に示せなかったためである1)

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1375

印刷版ISSN:0301-2611

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