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文献詳細

雑誌文献

検査と技術20巻13号

1992年12月発行

文献概要

トピックス

p53の免疫組織化学

著者: 五十嵐久喜1 椙村春彦1 喜納勇1

所属機関: 1浜松医科大学第一病理学教室

ページ範囲:P.1119 - P.1120

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 p53は,初めマウスの細胞株(SV40のT抗原でtransformしたもの)において,T抗原と特異的に結合する蛋白質として同定された.当初癌細胞株などで発現が増加しているため,腫瘍遺伝子のようなものとして認識されていたが,後にこれが,もともとの遺伝子が突然変異を起こしていたものであり,実際の野生型のほうは,腫瘍の抑制遺伝子としての機能を持つということがわかった.その証拠の1つに,多くの腫瘍においてこの遺伝子の欠失や点突然変異が高頻度で起こっていて正常の機能を失っているという事実がある1,2)
 より直接的には突然変異の起こっている腫瘍の細胞株に野生型の遺伝子を導入するとその細胞の腫瘍原性が失われる,つまり抑制されるという実験もある.いずれにせよヒト腫瘍で変化している遺伝子の中では頻度が最も高く,その生物学的な特性は多くの研究者の注目を集めている2)

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1375

印刷版ISSN:0301-2611

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