icon fsr

文献詳細

雑誌文献

検査と技術20巻3号

1992年03月発行

文献概要

講座 英語論文を読む・15

ヒト免疫不全ウイルスのエンベロープ糖蛋白を発現する組換えワクチニアウイルス生ワクチンの安全性および免疫学的反応

著者: 弘田明成1

所属機関: 1駒沢病院内科

ページ範囲:P.242 - P.243

文献購入ページに移動
 ヒト免疫不全ウイルスの外被遺伝子gp160を発現する組換えワクチニアウイルス生ワクチンを用いた無作為第I相試験を行った.35名のHIV抗体陰性の健常男子を対象に(31名が痘瘡の予防接種をした既往があり,4名がワクチニア未感染者)このワクチンを接種し,さらに8週後にHIVAC-leないし標準NY株のワクチニアウイルスで追加接種した.頻度,期間,そしてワクチン接種部位から分離したウイルスの力価,局所的な副作用の発生頻度などはいずれの接種者間においてほぼ同じであった.ワクチニア未感染者(vac-n)は既感染者(vac-p)に比較して接種部位からのウイルスの排出がより長期間持続し,しかも高力価であった(それぞれ,19日対7日,そして107pfu/ml対105pfu/ml).ワクチニアで初期化し,さらにHIVAC-leを接種した16名中の1名の接種者はインビトロにおいてTリンパ球が1種類以上のHIV抗原製剤に対して増殖反応を示した.しかし,このTリンパ球の反応は一過性であり,しかも抗HIV抗体が測定可能となった人はいなかった.HIVAC-leを接種したワクチニア未感染者2名では同種の菌株のウイルスと異種の菌株のウイルスのいずれに対しても,また組換えgp160蛋白に対してもTリンパ球が強い反応を示し,しかも1年以上にわたって検出が可能であった.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1375

印刷版ISSN:0301-2611

雑誌購入ページに移動
icon up
あなたは医療従事者ですか?