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文献概要
検査法の基礎
病理塗抹標本の固定法と染色性
著者: 井上泰1 菅沼麗桜1
所属機関: 1東京厚生年金病院病理科
ページ範囲:P.303 - P.307
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病理塗抹標本は細胞診のための標本である.組織標本に比し,検体の採取が容易で,より生きている状態に近い細胞が得られる.また,固定—染色の過程が速やかである.この標本の基本的固定法は,95%エタノールによる湿固定法である.エタノールは細胞内グリコーゲンや核酸を含む蛋白質をよく保持する.固定前乾燥を極力避けることが,その後のパパニコロウ染色の良否を決定する.天然塩基性色素であるヘマトキシリンによる核染色と酸性色素であるライトグリーンによる胞体染色が,コントラストよく鮮やかに出現すれば良好な染色性といえる.細胞死の過程における細胞形態の変化を基礎に固定法と染色性を簡略に述べる.
病理塗抹標本は細胞診のための標本である.組織標本に比し,検体の採取が容易で,より生きている状態に近い細胞が得られる.また,固定—染色の過程が速やかである.この標本の基本的固定法は,95%エタノールによる湿固定法である.エタノールは細胞内グリコーゲンや核酸を含む蛋白質をよく保持する.固定前乾燥を極力避けることが,その後のパパニコロウ染色の良否を決定する.天然塩基性色素であるヘマトキシリンによる核染色と酸性色素であるライトグリーンによる胞体染色が,コントラストよく鮮やかに出現すれば良好な染色性といえる.細胞死の過程における細胞形態の変化を基礎に固定法と染色性を簡略に述べる.
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