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文献詳細

雑誌文献

検査と技術20巻4号

1992年04月発行

文献概要

講座 英語論文を読む・16

感染症の評価におけるC反応性蛋白の補助としての血中ネオプテリン測定

著者: 弘田明成1

所属機関: 1駒沢病院内科

ページ範囲:P.348 - P.349

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 C反応性蛋白(CRP)は炎症状態や細菌感染時にその血中濃度が上昇する.血中ネオプテリン濃度は細菌性敗血症,ウイルス感染症や,移植片宿主拒絶反応のときに上昇する.血中CRP濃度およびネオプテリン濃度は骨髄移植患者21人(BMT),集中治療室(ICU)患者64人,そして頭頸部の扁平上皮細胞癌患者(HN)12名で毎日測定した.CRPと同時に血中ネオプテリン濃度をも測定することでBMT患者では感染症状態と移植片宿主拒絶反応とを区別することが可能であった.ICU患者ではCRP測定のみでは感染の特異的指標には不十分であり,また血中ネオプテリン濃度の測定を追加してもその特異度の向上の助けにはならなかった.この3つの患者群のいずれにおいてもネオプテリン/CRP比を求めても,臨床的には有用ではなかった.3つの患者群のいずれもそれぞれの基礎疾患に特徴的なCRPおよびネオプテリン濃度パターンを示した.BMT患者では移植片宿主拒絶反応による免疫学的活動を伴うため血中ネオプテリン濃度が優位に上昇した.感染症および炎症性疾患を伴うICU患者では血中CRP濃度とネオプテリン濃度の両方が上昇した.そして,局所的な炎症を伴うHN群では血中CRP濃度の上昇を示すが,ネオプテリン濃度には上昇がみられなかった.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1375

印刷版ISSN:0301-2611

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