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文献詳細

雑誌文献

検査と技術20巻4号

1992年04月発行

文献概要

検査ファイル

重合ヒト血清アルブミンレセプター

著者: 溝上雅史1 王珏1 姜葆芳1

所属機関: 1名古屋市立大学医学部第二内科

ページ範囲:P.352 - P.352

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 B型肝炎ウイルス(HBV)は1965年Blumbergの発見以後,臨床的には大きく解明されたが,HBVの向肝性と種特異性については長い間不明であった.しかし,1979年Imai1)はHBVの向肝性と種特異性を両方説明可能とする魅力的な仮説を提唱した.
 すなわち,グルタールアルデヒドで重合したヒト血清アルブミン(重合ヒト血清アルブミン;poly-HSA)とHBVが結合することを示し,HBVには特有のレセプター(重合ヒト血清アルブミンレセプター;以下アルブミンレセプター)が存在するとした.そして,すでにpoly-HSAは肝細胞と結合することが知られていたので,その事実と合わせ,HBVのアルブミンレセプターがpoly-HSAと結合することにより,HBVがpoly-HSAを介して肝細胞に接着するのであろうと想定し(図),それまで不明であったHBVの向肝性をこの仮説で説明可能であるとした.同時にHBVの感染が成立するとされているヒトとチンパンジーの重合血清アルブミンはこのHBVのアルブミンレセプターと結合するのに対し,HBVが感染しない他の動物の重合血清アルブミンは結合しないことも示し,HBVの種特異性もこの仮説で説明可能であるとした.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1375

印刷版ISSN:0301-2611

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