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文献詳細

雑誌文献

検査と技術20巻5号

1992年05月発行

文献概要

講座 英語論文を読む・17

薬物濫用のスクリーニング時の尿中クレアチニン測定の重要性

著者: 弘田明成1

所属機関: 1駒沢病院内科

ページ範囲:P.430 - P.431

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 薬物濫用の尿検査における偽陰性を減らし,その信憑性を確認するために尿中クレアチニン測定を用いる簡単な測定法を報告する.176患者検体の尿中クレアチニン濃度は0.1から31.9mmol/l(平均9.8±SD6.2)であり,浸透圧は49から1,183mOsm/kg(平均595±SD276)であった.クレアチニン濃度4.3mmol/l以下のほかの85検体では浸透圧との相関は低かった.異なる患者から無作為に選んだ10個の検体(クレアチニン濃度<4.3mmol/l,浸透圧<200mOsm/kg)で公認されている測定法を用いた最初の免疫学的薬物検査では“白”と認定された患者のうちで,5人が簡単な濃縮操作により薬物陽性になった.以前に大量の大麻を使用していたある患者において,その尿中カンナビノイドとクレァチニン濃度を93日間にわたって追跡した.それらの物質の尿中濃度はこの期間中を通して非常によい相関を示した(γ=0.93,p<0.001),一方,単に尿中カンナビノイド濃度を測定しただけでは大麻の濫用を時々見落としてしまうことが明らかとなった.薬物濫用の検査に用いられる尿検体ではクレアチニンを測定するべきであり,もしクレアチニン濃度が4.0mmol/l以下であるならその検体がたとえ薬物陰性であっても有効とされるべきではない.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1375

印刷版ISSN:0301-2611

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