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文献詳細

雑誌文献

検査と技術20巻5号

1992年05月発行

文献概要

検査ファイル

赤血球フェリチン

著者: 大原行雄1 宮﨑保1

所属機関: 1北海道大学医学部第3内科

ページ範囲:P.433 - P.433

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 フェリチンは分子量約450kD,H(heavy;21,000)とL(light;19,000)の2つのサブユニットが種々の割合に24個集まって形成された球形で中空な蛋白分子であり,中に約4,500個の鉄原子を収容することができる.その機能としては,過剰の鉄を取り込んで貯蔵したり,必要に応じて鉄を放出して供給するという生体内での鉄調節の役割を演じている.さらに鉄の調節を通じて骨髄における赤血球の産生,ヘム合成に密接に関与している.一方,最近そのHサブユニットは造血血球の制御にも関与していることが報告されている1)
 臨床においては,血清フェリチンが体内の貯蔵鉄の多寡を反映する指標として広く用いられている.しかし,血清フェリチンはその値が低下した場合には鉄欠乏を示唆するが,高値を示した場合,炎症,感染症,肝障害,悪性腫瘍などでも上昇するために,その解釈には困難を感ずることが少なくない.その点,赤血球フェリチンはフェリチンが赤血球内にあることで外的な要因に影響されにくいことから,体内における鉄代謝をより忠実に反映する指標として,近年その有用性が指摘されている2).当科における検討では,健常成人男子および女子の正常値は,

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1375

印刷版ISSN:0301-2611

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