文献詳細
文献概要
増刊号 尿検査法 I.総論 3.尿の異常
(3)蛋白尿
著者: 長瀬光昌1 日高寿美1
所属機関: 1帝京大学医学部第一内科
ページ範囲:P.29 - P.31
文献購入ページに移動はじめに
正常人でもわずかながら(<150mg/日)蛋白を尿中に排泄する.また尿蛋白は思春期にはわずかに増加し,10〜16歳の女性,12〜18歳の男性では300mg/日に及ぶことがあるという.通常,蛋白尿の検出にはスポット尿が対象となる.
蛋白尿検出法としては,従来より行われてきたスルホサリチル酸法では1.5mg/dl以上を感知するが,この精度では正常人でも蛋白尿陽性とされる可能性がある.また本法では,造影剤,サリチル酸投与後などでは偽陽性を呈することがある.試験紙法は現在ではより広く普及しており,15〜20mg/dl以上で陽性を示す.試験紙法陰性の蛋白濃度は2.0mg/dl,偽陽性は15〜35mg/dlであるという.これによると正常人でも偽陽性の判定をうけることが十分考えられる.また逆に,両方法で偽陰性となる可能性はごく少ないといえよう.留意すべき点としては,試験紙法ではL鎖蛋白を検出しないことがある.以上のことから蛋白尿が病的であるか否かについては慎重でなければならず,1回のみの検尿で判断すべきではない.
正常人でもわずかながら(<150mg/日)蛋白を尿中に排泄する.また尿蛋白は思春期にはわずかに増加し,10〜16歳の女性,12〜18歳の男性では300mg/日に及ぶことがあるという.通常,蛋白尿の検出にはスポット尿が対象となる.
蛋白尿検出法としては,従来より行われてきたスルホサリチル酸法では1.5mg/dl以上を感知するが,この精度では正常人でも蛋白尿陽性とされる可能性がある.また本法では,造影剤,サリチル酸投与後などでは偽陽性を呈することがある.試験紙法は現在ではより広く普及しており,15〜20mg/dl以上で陽性を示す.試験紙法陰性の蛋白濃度は2.0mg/dl,偽陽性は15〜35mg/dlであるという.これによると正常人でも偽陽性の判定をうけることが十分考えられる.また逆に,両方法で偽陰性となる可能性はごく少ないといえよう.留意すべき点としては,試験紙法ではL鎖蛋白を検出しないことがある.以上のことから蛋白尿が病的であるか否かについては慎重でなければならず,1回のみの検尿で判断すべきではない.
掲載誌情報