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文献詳細

雑誌文献

検査と技術20巻6号

1992年05月発行

文献概要

増刊号 尿検査法 II.各論 3.尿蛋白

(4)β2-ミクログロブリン

著者: 伊藤喜久1

所属機関: 1自治医科大学臨床病理学教室

ページ範囲:P.80 - P.81

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はじめに
 β2-ミクログロブリン(β2-microglobulin;β2-m)は,1968年,Berggårdらによってカドミウム中毒症患者から分離精製された分子量11,800,アミノ酸残基99個から成る単一ポリペプチドである.β2-mは,主要組織適合抗原であるHLAクラスⅠ抗原のL鎖として,全身有核細胞の細胞膜表面,ことにリンパ球,単球細胞など免疫担当細胞に豊富に存在分布し,免疫応答に重要な役割を担っている.
 β2-mは低分子であるために,腎糸球体基底膜を容易に通過し,腎尿細管上皮で異化,再吸収されて,ごく一部が尿中に排泄されるにすぎない.このことから血中,尿中β2-mの測定は,自己免疫疾患,ウイルス感染症や悪性腫瘍(腎前性増加),糸球体障害,尿細管障害などの病態診断,治療予後の指標のひとつとして広く用いられている.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1375

印刷版ISSN:0301-2611

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