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文献詳細

雑誌文献

検査と技術20巻6号

1992年05月発行

文献概要

増刊号 尿検査法 II.各論 9.尿中金属

尿中金属

著者: 野本昭三1

所属機関: 1信州大学医療技術短期大学部

ページ範囲:P.124 - P.129

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はじめに
 生体内の金属が尿中へ排泄されるようすを,その金属の体内濃度との関係からみた場合,H,Na,K,Cl,HCO3などの電解質の場合と同様に血漿中の濃度(過不足)を反映して排泄されるものと,まったく反映されないものの2種類に大別される.前者,すなわち血漿中濃度を反映するものは,多くの場合,腎の尿細管域に閾値(threshold)があって,血漿中濃度が一定の水準を越えて低下した場合には尿への排泄量が著しく低下する.Mg2+,Zn2+などがこの範疇に入るものとみられている.これに対して後者,血漿濃度を反映しないものには,血清Cu2+,血清Fe3+などがあげられるが,これらの金属はいずれも血清中で特定の(専用の)蛋白に保持された形で運搬されている点が前者と異なる.一方,非必須元素または毒性金属が,異常な生活環境下にあって,または医学的治療が原因になって,生体内に侵入したような場合には,多くの場合,これを反映して多量に尿中への排泄がみられる.
 これらのことから,尿中金属の測定は,体内での過不足を探る場合と,異常な侵入の有無をチェックする場合に行われるということができよう.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1375

印刷版ISSN:0301-2611

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