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文献詳細

雑誌文献

検査と技術20巻6号

1992年05月発行

増刊号 尿検査法

II.各論 12.有機酸

(3)シュウ酸

著者: 伊藤晴夫1

所属機関: 1帝京大学医学部附属市原病院泌尿器科

ページ範囲:P.146 - P.147

文献概要

はじめに
 人体中ではシュウ酸イオンは生理学的あるいは生化学的機能をもっていない.病理学的には,シュウ酸カルシウムが水にきわめて難溶であるために,カルシウムとシュウ酸が尿中で過飽和の状態となると結晶核が形成され,これが成長ないし凝集して尿路(腎)結石が形成される1).腎結石の約9割はシュウ酸カルシウムを主成分とする.ただし,尿中にはシュウ酸カルシウム結晶の成長・凝集に対する抑制物質が含まれているので,結石形成は尿中の溶質濃度と抑制物質とのかね合いで決まる2).尿中シュウ酸は内因性に産生されるものと,食事に由来するものとがあるが,結石形成に対しては尿中のシュウ酸はカルシウムよりもはるかに強い影響を与える.また,尿中シュウ酸濃度が正常より少し高くなっただけでも,尿中のシュウ酸結晶量が急激に上昇する.
 これらのことから,尿中のシュウ酸の測定は正確でなければならないことが理解される.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1375

印刷版ISSN:0301-2611

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