文献詳細
増刊号 尿検査法
II.各論 15.中毒性薬物
(3)催眠薬
著者: 高須伸克12 藤井真澄3 高松邦樹3
所属機関: 1聖路加国際病院救急部 2前:川崎医科大学救急医学 3川崎医科大学救命救急センター検査室
ページ範囲:P.158 - P.159
文献概要
わが国における急性中毒の発生頻度は,軽症例を含めると年間13万〜40万人に達する.急性中毒の原因物質には医薬品,農薬,工業用品,家庭用品など,さまざまなものがある.特に入院を要する重症急性中毒は医薬品によるもの(その多くは自殺企図例)がもっとも多く,医薬品のなかでも催眠薬による中毒が総数2,360件中880件(37.3%)ともっとも多い(急性中毒物質に関する全国アンケート調査より).
急性中毒の治療は,①体内への薬毒物の吸収の阻止(経口摂取:胃洗浄・腸洗浄・活性炭投与,体表面への付着:水洗),②血液中からの薬毒物の除去(血液浄化法:血液透析・血液吸着・血漿交換など),③拮抗薬の投与(有機リン剤:PAM,シアン:チオ硫酸Na,亜硝酸Na,重金属:BAL,CaNa2EDTA,麻薬:レバロルファンなど),④呼吸・循環管理を中心とした全身維持療法が行われる1).もちろんこれと並行して,原因物質の薬毒物分析を行う.
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