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文献詳細

雑誌文献

検査と技術20巻7号

1992年06月発行

文献概要

講座 英語論文を読む・18

改良PTH-RP免疫放射定量法:高カルシウム血症の鑑別診断への臨床応用

著者: 弘田明成1

所属機関: 1駒込病院内科

ページ範囲:P.532 - P.533

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 われわれは吸着精製したポリクローナル免疫抗体を用いて,高感度かつ特異的な副甲状腺ホルモン関連蛋白(PTH-RP)の固相免疫放射定量法(IRMA)を開発した.PTH-RP(37-74)を認識する抗体をポリスチレンビーズに固相化し,それにより検体から分析するものを吸着した;PTH-RPの1〜36番までの間のアミノ酸のエピトープを認識する抗体を125Iで標識した.このIRMAはPTH-RP(1-74)とPTH-RP(1-86)を同等に認識するが,PTH-RPのN-端ないしC-端の断片,完全なヒト副甲状腺ホルモン(PTH),あるいはPTHの断片は認識しない.3〜5℃または室温では血漿中のPTH-RPは不安定であるが,アプロチニン(500カリクレイン単位/l)とロイペプチン(2.5mg/l)を加えることにより血液サンプル中のPTH-RPの安定性を増すことができる.これらのプロテアーゼを加えたうえで正常ボランティアおよびさまざまなカルシウム代謝異常患者の血漿サンプルを測定した結果,高カルシウム血症を伴った非血液悪性腫瘍患者の91%(46名中42名)の血中PTH-RP濃度が正常を上回った(>1.5pmol/l).ほかの高カルシウム状態を伴った疾患(例えば原発性副甲状腺機能亢進症,サルコイドーシス,そしてビタミンD過剰症)の患者から採取した検体では,PTH-RP濃度は測定不能であった.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1375

印刷版ISSN:0301-2611

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