icon fsr

文献詳細

雑誌文献

検査と技術21巻10号

1993年09月発行

文献概要

けんさアラカルト

痛みとツボ

著者: 川喜田健司1

所属機関: 1明治鍼灸大学生理学教室

ページ範囲:P.808 - P.808

文献購入ページに移動
 東洋医学,特に鍼灸の分野では,ツボと呼ばれる部位の圧痛の有無を調べてその診断材料の1つにしている.現代医学が種々の検査機器と専門家を動員して,きめ細かな検査を行い,その結果に基づいて診断を行うことに比べると,この圧痛の測定は極めて簡便である.しかし,X線写真などのなかった時代の腹痛の鑑別診断には,腹背部の筋緊張,圧痛が重要な役割を演じていたことを思い起こせば,その有用性をあながち否定できない.
 この圧痛部位は,診断に用いられるだけでなく,その部位に刺激を加えることが鍼灸の臨床で行われている.鍼灸に限らず,どこか体の調子が悪いときにツボと呼ばれる部位に圧迫を加えると,痛みが和らぐことを経験した人も少なくないであろう.しかし,冷静に考えれば,診断するための部位が治療部位としても用いられていることは,現代医学的な立場からみると奇異な感じは否めない.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1375

印刷版ISSN:0301-2611

雑誌購入ページに移動
icon up
あなたは医療従事者ですか?