icon fsr

文献詳細

雑誌文献

検査と技術21巻11号

1993年10月発行

文献概要

生体のメカニズム 脂質代謝・10

FFA

著者: 林洋12

所属機関: 1横浜赤十字病院内科 2横浜赤十字病院検査部

ページ範囲:P.928 - P.931

文献購入ページに移動
FFAとは
 血漿中に存在する脂肪酸には,化学的に2つの形がある.1つは,そのカルボキシル基が他の分子と共有結合している場合であり,中性脂肪,コレステロールエステル,グリセロリン脂質(例えばホスファチジルコリン)におけるようなエステル結合した脂肪酸,もしくは,スフィンゴリン脂質(例えばスフィンゴミエリン)の場合におけるようなアミド結合した脂肪酸である.もう1つは,そのカルボキシル基が共有結合しておらず,遊離した状態で(実際にはほとんどが陰イオンとして)存在している場合である.この後者の脂肪酸を遊離脂肪酸(free fatty acids;FFA)と呼ぶ(図1).前者の共有結合している脂肪酸のうち,その大部分はエステル結合したものであり,したがって,FFAをエステル結合していない脂肪酸という意味で,UFA(unesterified fatty acids)もしくはNEFA(non-esterified fatty acids)と呼ぶこともある.共有結合した脂肪酸,すなわち中性脂肪,コレステロールエステル,リン脂質は,血漿中ではそのほとんどすべてがリポ蛋白中に存在することから,逆にFFAは,ともすればリポ蛋白というミセル中に存在せず,分子として血液中に自由に溶解している脂肪酸であると誤解されがちであるが,これはまったくの誤りである.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1375

印刷版ISSN:0301-2611

雑誌購入ページに移動
icon up
あなたは医療従事者ですか?