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文献詳細

雑誌文献

検査と技術21巻13号

1993年12月発行

文献概要

講座 英語論文を読む・36

甲状腺ホルモン不応症候群

著者: 弘田明成1

所属機関: 1駒沢病院内科

ページ範囲:P.1104 - P.1105

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 甲状腺ホルモン不応症候群は,体の組織が甲状腺ホルモンの作用に対して抵抗性を示す疾患である.全身型甲状腺ホルモン不応症(GRTH)は下垂体,そしてほとんどないしすべての末梢組織において抵抗性を示すのが特徴である.罹患した患者は血中甲状腺ホルモン値の上昇と,甲状腺ホルモンに比して不相応な正常ないし上昇した甲状腺刺激ホルモン(TSH)値を伴い,臨床的には甲状腺機能が正常であり,治療を必要としないのが一般的である.選択的下垂体甲状腺ホルモン不応症(PRTH)では抵抗性が下垂体のみに現れ,末梢組織では認められないことが特徴である.患者は血中甲状腺ホルモンの上昇と正常ないし上昇したTSH値を示し,臨床的には甲状腺中毒症を示す.選択的末梢性甲状腺ホルモン不応症(PerRTH)では末梢組織でのホルモン抵抗性はあるが,下垂体ではみられないのが特徴である.現在までに報告された唯一の症例では血中甲状腺ホルモンとTSH値は正常であるが,臨床的には甲状腺機能低下症を示し,甲状腺ホルモンの投与で改善がみられたと記述されている.これらの疾患はおそらく一般で認識されている以上に普遍的であろうし,しばしば誤診され,不適切に治療されているものと思われる.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1375

印刷版ISSN:0301-2611

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