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文献詳細

雑誌文献

検査と技術21巻13号

1993年12月発行

文献概要

生体のメカニズム 脂質代謝・12

食事と高脂血症

著者: 二宮一見1 丸浜喜亮2

所属機関: 1岩手医科大学第一内科 2岩手医科大学第一内科代謝部門

ページ範囲:P.1107 - P.1110

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はじめに
 高脂血症は高コレステロール血症と高トリグリセリド血症に大別され,前者は冠動脈疾患の危険因子の中でも重要な因子である.高トリグリセリド血症が高度な場合,膵炎のリスクとなるが,軽度の場合,動脈硬化の危険因子であるか否かは長い間議論されてきた.しかし最近,50歳以上の女性や,高コレステロール血症を合併した場合には高トリグリセリド血症自身も動脈硬化の危険因子となりうることが示されている.また,高トリグリセリド血症を合併するインスリン抵抗性症候群1)では低HDL-コレステロール血症,高血圧,肥満を併発し,冠動脈疾患のリスクが高い.
 このような高脂血症を基盤とする病態は従来欧米を中心にみられてきたが,近年本邦において増加傾向にあり,しかもこの傾向は成人のみならず若年者においてもしばしばみられるようになってきている.この原因は,高度成長期を契機とした食習慣の変化によるとされている.しかし一方で,わが国の食事はantiatherogenicな点が国際的に注目されていることもまた事実である.食事と高脂血症に関するこれまでの欧米での疫学調査では,高コレステロール,高脂肪食がatherogenicであることが示されている一方,動脈硬化症における食事療法の効果に関する疫学調査では,抗動脈硬化食,すなわち,低コレステロール・低飽和・高不飽和脂肪食が動脈硬化症をある程度予防することが可能であることを示している.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1375

印刷版ISSN:0301-2611

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