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文献詳細

雑誌文献

検査と技術21巻2号

1993年02月発行

文献概要

検査ファイル

フィブリノゲン分解産物

著者: 鈴木隆史1

所属機関: 1東京医科大学臨床病理学教室

ページ範囲:P.165 - P.165

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 線溶系の活性化により生じたプラスミンは,フィブリノゲンまたはフィブリンを限定加水分解し,種々の分解産物を生じるが,これらは総称してフィブリン/フィブリノゲン分解産物(fibrin/fibrinogen degradation;FDP)と呼ばれる.フィブリノゲン1分子はプラスミンによる作用を受けると,X,Y分画という中間産物を経て,終末産物である2分子のDモノマーと1分子のE分画へと分解されるが,さらにいくつかの亜分画が存在する.一方,凝固系の活性化により生じたトロンビンは,フィブリノゲンからフィブリノペプチドAとBを遊離しフィブリンモノマーを生成する.この一部は血中のフィブリノゲンやFDP,寒冷不溶性グロブリンなどと結合して可溶性フィブリンモノマー複合体を形成して血中を循環する.一方で,フィブリンモノマーは互いに重合し,フィブリンポリマーとなり,活性型XIII因子の作用によりクロスリンクし,安定化フィブリン,すなわちフィブリン血栓となる.安定化フィブリンがプラスミンにより分解を受けると,Dダイマー分画とE分画が会合したDD/E複合体を基本単位として,このほか,YD/DY,YY/DXDなどの高分子分画が出現する.またDD/E複合体はさらにプラスミンにより分解され,DダイマーとE分画とになる.このようにFDPには多くの分画があり,線溶亢進時において生体内に出現するFDP分画の構成は,病態や疾患により異なる可能性が考えられる.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1375

印刷版ISSN:0301-2611

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