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トランスフェリンレセプターの発現と抑制
著者:
木村郁郎1
宗田良2
所属機関:
1岡山大学医学部第2内科
2国療南岡山病院
ページ範囲:P.169 - P.170
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トランスフェリン(TF)は,鉄のcarrier proteinであり,腸管から吸収された鉄と結合し,TF-Fe結合体として血流に乗り全身諸臓器に鉄を供給する.トランスフェリン受容体(TfR)は,このTF-Fe結合体を有効に細胞内に取り込むため細胞膜に発現される.したがってヘモグロビン合成などに大量の鉄を必要とする赤芽球には数多くのTfRが存在し,またFeは細胞増殖の際には重要で,核酸合成の際の必須酵素であるribonucleoside reductaseなどのessential elementでもあるので,胎盤,腸粘膜上皮,リンパ芽球などにもTfRが発現されている.そのほか,血管内皮細胞,肝細胞,マクロファージなどにも発現することが知られ,細胞増殖の著しい腫瘍細胞にも多数発現されることが知られている.
TfRの発現制御の機構の詳細については,K562,HL60などの多分化能を有する培養細胞において検討され,大きく3つの調節機構が知られている.まず第1の機構としては,細胞増殖においてTfR遺伝子の転写活性が亢進すること1)が知られ,逆に細胞分化とともに転写は抑制されることが知られている.