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文献詳細

雑誌文献

検査と技術21巻4号

1993年04月発行

文献概要

検査データを考える

糖尿病

著者: 大井一輝1 小森広美1

所属機関: 1東邦大学医学部附属大橋病院糖尿病科

ページ範囲:P.367 - P.371

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はじめに
 健常者の血中グルコース(血糖)値は,食事,運動,ストレスなどによるわずかな変動はあっても1日を通じてほぼ一定に保たれている.消化管からの吸収,肝のグリコーゲン分解,組織蛋白からの新生と脳,筋,脂肪組織,赤血球などによる消費とのバランスのうえに成り立っているからで,このホメオスタシスは,インスリンの血糖降下作用と成長ホルモン,ACTH,副腎皮質ステロイドホルモン,グルカゴン,アドレナリンの血糖上昇作用によって調節されていて,調節機序が破綻をきたしたときに異常高値や異常低値を呈する.ここで取り上げる糖尿病はインスリンの作用不足によって生ずる病態で,血糖値は高値となり尿糖の排泄をみる.1日の血糖の動きと尿糖の関係をみると(図1,波形実線は1日の血糖の動き),血糖コントロールの悪い場合の血糖は1日中高く推移して,尿糖が1日中排泄され,しかも多量で,口渇,倦怠など糖尿病症状が出没する.一方,改善した例や理想的なコントロール例では尿糖はごく少量となり,時にはまったくみられないこともある.したがって,検査値のみをみた場合,糖尿病例であっても採血時間や採尿時間が空腹時であれば,血糖値が正常,尿糖陰性のことはよくあり,また明らかに血糖高値であり,尿糖多量であれば,最も頻度の高い糖尿病をまず疑うか,糖尿病治療がうまくいっていないと考えるのが常識である.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1375

印刷版ISSN:0301-2611

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