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エンドセリン
著者: 山根一秀1
所属機関: 1筑波大学臨床医学系内科
ページ範囲:P.374 - P.375
文献購入ページに移動エンドセリンは,1988年,柳沢らによって血管内皮細胞の培養上清中に発見された強力な血管平滑筋収縮作用を持ったペプチドで,その構造は21個のアミノ酸残基からなっている.エンドセリンには,アミノ酸配列の違いにより,エンドセリン-1,エンドセリン-2,エンドセリン-3の3つがあり,エンドセリンファミリーと総称される.当初発見されたのはエンドセリン-1である.エンドセリン-1は,血管内皮細胞などで前駆体(プレプロエンドセリン)として合成される.この前駆体は,ほとんど活性のない中間体であるビッグエンドセリン-1(アミノ酸38残基)を経て,エンドセリン変換酵素によりエンドセリンになる.
エンドセリン-1の産生を促進するものとして,トロンビン,transforming growth factor-β,アンギオテンシンII,バゾプレッシンなどが知られている.エンドセリンを摘出した血管に作用させると,従来知られていた生理活性物質の中で最も強い血管収縮作用が数時間にわたってみられ,また,一時的な血圧低下の後,持続的な血圧上昇がみられる.このようにエンドセリンは特に循環器系において重要な作用を示すが,表1に示すような多彩な薬理作用が知られている.
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