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増刊号 臨床化学実践マニュアル II.日常検査における異常値への対応 2.蛋白質成分
(2)尿中蛋白
著者: 杉田収1
所属機関: 1新潟大学医学部附属病院検査部
ページ範囲:P.61 - P.63
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1.出現のメカニズム
血漿蛋白成分の腎糸球体基底膜の透過性はsize barrierで規定されている.分子量約6万ダルトン以下の低分子蛋白は容易に通過するが,分子量が6.6万であるアルブミン(albumin;ALB)は通過しにくい.また糸球体基底膜の透過性はcharge barrierによっても規定されている.すなわち糸球体基底膜は陰性に荷電しているので,陰性荷電の強いアルブミンはさらに通過しにくいはずである.したがって尿中にアルブミンが一定以上検出されたならば,糸球体基底膜の病変が想定される.
微量アルブミン尿(microalbuminuria)とは,通常尿中に20〜200μg/分または30〜300mg/日のアルブミンの排泄のみられる場合をいう.この排泄量は試験紙法による蛋白定性は(-)〜(±)であるが,健常者より多いアルブミン量なのである.この状態の腎の病理所見は,糸球体基底膜の肥大,メサンギウムの拡大に対応している1)といわれる.
1.出現のメカニズム
血漿蛋白成分の腎糸球体基底膜の透過性はsize barrierで規定されている.分子量約6万ダルトン以下の低分子蛋白は容易に通過するが,分子量が6.6万であるアルブミン(albumin;ALB)は通過しにくい.また糸球体基底膜の透過性はcharge barrierによっても規定されている.すなわち糸球体基底膜は陰性に荷電しているので,陰性荷電の強いアルブミンはさらに通過しにくいはずである.したがって尿中にアルブミンが一定以上検出されたならば,糸球体基底膜の病変が想定される.
微量アルブミン尿(microalbuminuria)とは,通常尿中に20〜200μg/分または30〜300mg/日のアルブミンの排泄のみられる場合をいう.この排泄量は試験紙法による蛋白定性は(-)〜(±)であるが,健常者より多いアルブミン量なのである.この状態の腎の病理所見は,糸球体基底膜の肥大,メサンギウムの拡大に対応している1)といわれる.
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