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文献詳細

雑誌文献

検査と技術21巻5号

1993年04月発行

文献概要

増刊号 臨床化学実践マニュアル II.日常検査における異常値への対応 2.蛋白質成分

(7)心筋(関連蛋白)

著者: 片山善章1

所属機関: 1国立循環器病センター臨床検査部

ページ範囲:P.82 - P.85

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はじめに
 急性心筋梗塞(acute myocardial infarction;AMI)時に血中に遊出する特異性の高い蛋白は,心筋細胞質に存在するCK-MB(分子量:約81 kd),AST(分子量:約90kd),LD1(分子量:約140kd)などの酵素蛋白とミオグロビン(myoglobin;Mb,分子量:17.5kd)および細胞質中に約6%が遊離形で存在しているトロポニンT(troponin T:TnT,分子量:37kd)が挙げられる.一方,心筋の筋収縮に関与する構造蛋白としてはミオシン軽鎖I(myosin L chain kinase I;Ms-L I,分子量:28kd)とTnTがある.特にAMI時の血中TnTは細胞質画分と構造蛋白の両者から遊出すると報告1)されている.その意味からMbは分子量が17.5kdであるためCK-MBよりも早期に血中に出現し,細胞質画分に存在するTnTも37kdであるからCK-MBよりも早期に出現する,筋収縮蛋白として機能しているTnTは構造蛋白から崩壊すると徐々に出現するのである.したがってAMI時の血中TnTは細胞質酵素蛋白のCKや構造蛋白のMs-L Iの両者の利点を持つと考えれば理解しやすい.Ms-L Iは分子量28kdであるが,構造蛋白であるので心筋蛋白のうち一番遅れて血中に出現するのである.
 本稿では心筋蛋白のMb,Ms-L I,TnTについて述べる.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1375

印刷版ISSN:0301-2611

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