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文献詳細

雑誌文献

検査と技術21巻5号

1993年04月発行

文献概要

増刊号 臨床化学実践マニュアル 話題 1.実試料標準物質

pH,Pco2標準血清

著者: 桑克彦1 梅本雅夫2

所属機関: 1筑波大学医療技術短期大学部 2(財)化学品検査協会

ページ範囲:P.89 - P.89

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 血液pH/血液ガスの測定は,特に救急救命検査としての最重要項目として用いられている.pHおよびPco2の測定は,一般的にはそれぞれガラス電極とセベリングハウス型電極によって行われている.しかし,電極法による測定においては,血液試料のマトリックス効果が測定結果に大きな影響を与えることは周知のとおりである.主としてpHの場合比較電極の液絡部における校正液と血液試料間の液間電位差が異なること,Pco2の場合CO2透過膜において校正ガスと血液試料の透過速度が異なることにより,その測定値は機種間で大きな乖離がみられる.測定値の正確さに関しては,pHの場合は残余液間電位差が最小でかつ高精度の毛細管型液一液ジャンクションを有するガラス電極法により,Pco2の場合は標準トノメトリーしたヒト全血を用いることにより評価することができるが,いずれも一般的ではない.
 そこで,測定値の正確さを簡単に評価するための標準試料が求められていた.現状では全血を安定化できないので,電極に対する挙動が全血と一致する特定のウシ血清を原料とするアンプル入り標準血清を開発した.この標準血清は,原料のウシ血清に二酸化炭素ガスを吸収させたもので,pHおよびPco2がそれぞれ3レベルから成り,(財)化学品検査協会から供給されている.標準血清の保存は冷凍庫で行い,使用に当たっては恒温水槽を用い気液平衡を確実に行う必要がある.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1375

印刷版ISSN:0301-2611

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