icon fsr

文献詳細

雑誌文献

検査と技術21巻5号

1993年04月発行

文献概要

増刊号 臨床化学実践マニュアル II.日常検査における異常値への対応 4.糖・糖関連成分,有機酸成分

(2)有機酸成分

著者: 平野哲夫1

所属機関: 1東京警察病院中央検査第一部臨床化学

ページ範囲:P.106 - P.108

文献購入ページに移動
■ピルビン酸・乳酸・ケトン体の代謝の相互関係
 生体成分を分析するに当たっては,まず測定される項目の生体内での動態を把握しておく必要がある.これら有機酸の代謝の相互関係についてごく簡単に触れておく.
 ピルビン酸は多種にわたる代謝経路の交差点に位置している.細胞内では主にグルコースの嫌気的解糖によって生ずる中間代謝産物である.組織の酸素が十分でないと,ピルビン酸は乳酸脱水素酵素により還元され乳酸となり,NADH(nicotinamide adenine dinucleotide)が酸化されてNADとなる.乳酸は嫌気的解糖の終末代謝産物として,生体のあらゆる組織で産生され,大部分が肝と腎でTCAサイクルや糖新生の基質として再利用される.ケトン体は肝での遊離脂肪酸の代謝産物であり,アセト酢酸,ヒドロキシ酪酸およびアセトンの総称名である.図1にこれら3者の代謝の関連性を示した.ケトン体は肝で利用されず肝外組織により再びアセチルCoAとなり,TCAサイクルで再利用される.これら乳酸・ケトン体は陰イオン有機酸として血中に存在し,酸・塩基平衡に重大な役割を演じる.乳酸アシドーシスあるいは糖尿病性ケトアシドーシスは,しばしば臨床で経験される代謝性アシドーシスである.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1375

印刷版ISSN:0301-2611

雑誌購入ページに移動
icon up
あなたは医療従事者ですか?