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文献詳細

雑誌文献

検査と技術21巻5号

1993年04月発行

文献概要

増刊号 臨床化学実践マニュアル II.日常検査における異常値への対応 5.脂質・脂質関連成分

(4)脂質関連成分—過酸化脂質・SOD

著者: 徳永賢治1

所属機関: 1愛媛大学医学部附属病院検査部

ページ範囲:P.118 - P.119

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はじめに
 酸素原子は8個の電子がK殼,L殼に配置されている(図1).酸素原子が2個結合して酸素分子を形成する際,P軌道の8個の電子のうち6個が新しい軌道を作る.残りのそれぞれ1個の電子が1番外側の反結合軌道(πχ,πу)に入る.この軌道には電子が1個しか入っていないので,この電子は不対電子と呼ばれ,外から電子を得て安定になろうとするため反応性が非常に高い.このような不対電子を持つ分子あるいは原子をフリーラジカルと呼ぶ.活性酸素とはフリーラジカルの中で中心に酸素を持つもので,O2-,H2O21O2,・OHの4種を指す.
 生体内では酵素反応や自動酸化により,O2-,H2O2を生じる.H2O2は金属イオンの存在下で・OHとなる.これらの活性酸素は生体内で常に産生されており,薬物の水酸化,生理活性物質の合成,殺菌作用などに利用されている.しかし過剰に生成されると細胞障害,DNAの不活化,酵素の失活,脂質の過酸化などが惹起される.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1375

印刷版ISSN:0301-2611

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