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文献詳細

雑誌文献

検査と技術21巻5号

1993年04月発行

文献概要

増刊号 臨床化学実践マニュアル II.日常検査における異常値への対応 8.ビタミン成分

ビタミン成分

著者: 安田和人1

所属機関: 1帝京大学医学部臨床病理学教室

ページ範囲:P.158 - P.163

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はじめに
 血液中のビタミン成分の測定は主としてビタミンの欠乏状態,代謝異常の判定を目的として行われる.しかし,そのほかに例えば白血病,肝炎の際に高ビタミンB12血症がみられるなど,それ自体は診断の決め手にはならないが,疾患時に一定の変動がみられる場合に測定が意味を持つことがある.
 水溶性ビタミンはビタミンそのもの,または代謝物質が尿中に排泄されるので,それらの24時間排泄量を測定することができるが,当日の食物からの摂取状況の影響を受けやすく,かつ変動幅が大きいため,血中濃度に比べて指標性が低い.しかしビタミンB6が欠乏するとその主要な尿中代謝物質である4-ピリドキシン酸(PIC)の排泄量が減少し,ニコチン酸欠乏ではN1-メチルニコチンアミド(MNA)の尿中排泄量が減少し,いずれも欠乏状態の指標として用いられる.またビタミンB12欠乏の際に尿中排泄量が増加するメチルマロン酸のように,通常は極めて微量しか排泄されないが,ビタミン欠乏の際に起こる代謝異常によって血液中に代謝物質が蓄積され,尿中に大量に排泄されるような場合には診断的価値が高い.葉酸欠乏における尿中ホルムイミノグルタミン酸(FIGlu)の増加も同様である.またビタミンB6欠乏の際に尿中にキサンツレン酸が増加することも知られている.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1375

印刷版ISSN:0301-2611

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