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文献詳細

雑誌文献

検査と技術21巻5号

1993年04月発行

文献概要

増刊号 臨床化学実践マニュアル II.日常検査における異常値への対応 9.腫瘍マーカー

腫瘍マーカー

著者: 大倉久直1

所属機関: 1国立がんセンター中央病院薬物療法部

ページ範囲:P.164 - P.169

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■免疫学的検査の問題点
 モノクローナル抗体にせよ,免疫抗体にせよ,抗原抗体反応で検出される物質が単一の物質でないことに留意する必要がある.つまり検査試薬に用いている抗体が認識する(結合できる)抗原決定基(エピトープ)構造を持っている分子であれば,残りの分子構造が違っても免疫学的には同じ抗原として認識される.hCGのβ鎖末端を認識する抗体は,hCG分子とhCGのβ鎖,β鎖のフラグメントの一部と反応するが,hCGのα鎖に対する抗体はhCGおよびプロラクチンと反応し,β鎖とは反応しない.
 また,CA19-9のモノクローナル抗体NS19-1は2-6シアリルルイスAの糖鎖抗原とだけ反応するが,この糖鎖はCA50,SPan-1,KM01,NCC-ST-272 CA195などのモノクローナル抗体でも検出される.そしてCA50とSPan-1のモノクローナル抗体は側鎖にフコースを持たない2-6シアリルラクトテトラオースとも反応し,CA195はシアル酸を欠いたルイスAとも反応し,KM01はCA19-9とほとんど同じ抗原糖鎖だけを認識する.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1375

印刷版ISSN:0301-2611

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