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病気のはなし
C型肝炎
著者: 中尾國明1 岩田滉一郎1 金井弘一1
所属機関: 1東芝病院消化器内科
ページ範囲:P.388 - P.392
文献購入ページに移動1989年にC型肝炎ウイルス抗体(HCV抗体)の検査法が実用化されて以来,今まで非A非B型とされていた肝炎のほとんどがC型肝炎であったと判明した.C型肝炎に血液を介して感染する.以前は輸血後肝炎の95%はC型肝炎であったが,HCV抗体検査の採用により輸血後C型肝炎の発症は激減している.C型肝炎の臨床経過はA型,B型肝炎とは異なり,急性肝炎が鎮静化せず,慢性肝炎に移行する率が高い.C型慢性肝炎患者の約50%に輸血歴がある.慢性肝炎の活動性が強いまま持続すると肝硬変に移行し,高頻度に肝細胞癌を合併してくる.これまで対症的にしか対応できなかったC型急性肝炎,慢性肝炎に対し,ウイルスを排除する目的でインターフェロン療法が導入され奏功している.しかし,慢性活動性肝炎での最終的な有効率はまだ40%程度である.肝細胞癌に対する治療法には肝動脈塞栓術,腫瘍へのエタノール注入療法など独特なものがあり,また手術技術の進歩により,根治的な肝切除術も広く行われるようになった.
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