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文献詳細

雑誌文献

検査と技術21巻6号

1993年05月発行

文献概要

検査ファイル

グリコペプタイド系抗生剤

著者: 小林芳夫1

所属機関: 1慶應義塾大学病院中央臨床検査部

ページ範囲:P.446 - P.446

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 アクチノマイセタレス目を生産菌とする本系統の抗生物質で,現在入手可能な薬剤はリストセチンとバンコマイシンである.しかしリストセチンにはヒトの血小板を凝集させる作用があり,抗生剤として人体に投与はされていない.ただしvon Willebrand病患者の血小板はリストセチンによる凝集が,そうでない人の血小板の凝集より悪いという事実が発見されて以後,この性質を利用して本疾患の診断薬として使用されている.
 一方,バンコマイシンは現在本系統唯一の抗生剤として広く使用されている.本剤の抗菌スペクトルの特徴を一口でいえばグラム陽性菌にのみ抗菌力を有し,グラム陰性菌には抗菌力を有さない狭域抗生剤であるということである.すなわちレンサ球菌属,ブドウ球菌属,腸球菌属およびクロストリジウム属に優れた抗菌力を有する.試験管内におけるその抗菌作用は殺菌的である.本邦における厚生省で許可された適応症ならびに適応菌種は以下のように非常に限られたものである.すなわち経口投与薬としてはクロストリジウムディフィシルによる偽膜性腸炎に,注射薬としてはメチシリン耐性黄色ブドウ球菌(methicillin-resistant Staphylococcus aureus;MRSA)感染症のみに適応が限定されている.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1375

印刷版ISSN:0301-2611

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