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文献詳細

雑誌文献

検査と技術22巻1号

1994年01月発行

文献概要

生体のメカニズム 遺伝子の異常・1

遺伝子の発現制御—特に転写制御について

著者: 大川淳12 多比良和誠2 武部豊1

所属機関: 1国立子防衛生研究所エイズ研究センター 2工業技術院生命工学工業技術研究所

ページ範囲:P.61 - P.65

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はじめに
 さまざまな生命現象の源には遺伝子が存在し,その働きは巧妙かつ複雑な機構のもとに制御されている.セントラルドグマ(図1)に示されるように,遺伝子の発現とは,基本的にはDNAからRNAを経て最終産物である蛋白質が合成され,機能することを意味している.この一連の流れは各段階で綿密に制御され,必要なときに,必要な場所で,必要な量だけその遺伝子がコードする蛋白質が合成される.もし,制御に乱れが生じれば,病気へとつながり,最悪の場合は死への転帰をたどることになる.それゆえ遺伝子発現制御機構は神業ともいえる精密さを備えており,また一種の芸術的美しさがあり,この研究分野は多くの研究者を引き付けている.さて,遺伝子発現制御の最初の段階が,DNAからRNAへの転写であるが,真核生物ではこの段階の制御が最も重要であると認識されている.この制御は,遺伝子上(あるいはDNA上)の転写制御領域と転写調節因子との相互作用に基づいており,さらにこの相互作用は転写調節因子の量的制御,質的制御,DNAの構造変化と大きく分けて3つの要因により支配されている.本稿ではこれら3つの要因に注目し,遺伝子発現制御の中核を成す転写制御について述べてみたい.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1375

印刷版ISSN:0301-2611

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