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文献詳細

雑誌文献

検査と技術22巻1号

1994年01月発行

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トピックス

腎症候性出血熱

著者: 富山哲雄1

所属機関: 1東京大学医学部附属病院分院検査部

ページ範囲:P.79 - P.81

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■腎症候性出血熱とは
 1951年5月,朝鮮戦争に出兵した国連軍は鉄原,金化,平康を中心とする中部戦線で未知の熱性疾患に遭遇し,この年,患者は827名に達し,1954年までに3,000名を超えた.この熱性疾患は,高熱,食欲不振,悪心,筋肉痛,腹痛,腎不全を伴い,当時15%の死亡率を示す重大なものであった.初めは発疹チフス,レプトスピラ症などが疑われたが,その後の研究から,1942年日本陸軍石井部隊により旧満洲から報告された流行性出血熱,あるいは旧ソ連の出血性ネフローゼ腎炎に相当するものと判定され,韓国型出血熱と呼ばれた.1982年,WHOはこれを腎症候性出血熱(hemorrhagic fever with renal syndrome;HFRS)と称するよう勧告した.
 国連軍はこの疾患に対処するため,1952年広壮里に出血熱センターを設置し,以後10年余り,米国の多数のウイルス学者を動員し,チンパンジーまで使って病原ウイルスの分離,伝播様式の解明に努めたが成功しなかった.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1375

印刷版ISSN:0301-2611

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