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文献詳細

雑誌文献

検査と技術22巻10号

1994年09月発行

文献概要

生体のメカニズム 遺伝子の異常・9

遺伝子疾患—血友病,フェニルケトン尿症

著者: 利見和夫12

所属機関: 1名古屋大学医学部第1内科学教室 2増子記念病院臨床検査課

ページ範囲:P.809 - P.813

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血友病
はじめに
 血友病患者は幼少時から関節出血や筋肉内出血などによる出血症状に悩まされ,現在最も高頻度に認められる先天性出血性疾患である.
 血友病は伴性劣性遺伝形式をとり,男子1万人に1人の割合といわれている.わが国の患者数は1991年度の調査1)によれば血友病Aが3,157人,血友病Bが650人で,その比率はほぼ5対1である.血友病患者の約1/3には家族歴のない孤発例で突然変異によるものと推定される.血友病には血液凝固第Ⅷ因子活性の欠乏によるものを血友病A,第Ⅸ因子活性の欠乏によるものを血友病Bと呼ぶ.さて血友病の診断は従来より血中の凝固因子活性および蛋白の測定が中心であったが,やや信頼性に問題があった.1980年代に入り,分子生物学的解析により第Ⅷ・Ⅸ因子の遺伝子が単離されたことにより,血友病の病因・病態の解明や家系内診断がDNAレベルで可能となった.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1375

印刷版ISSN:0301-2611

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