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けんさアラカルト
新しい病気の発見法
著者: 宮井潔1
所属機関: 1甲子園大学栄養学部
ページ範囲:P.976 - P.976
文献購入ページに移動 新しい病気を発見するということは,臨床家にとって1つの夢である.とはいってもよほど幸運に恵まれないとそのチャンスは訪れないと思い込んでいる人が多い.しかし,私が専門にしている甲状腺の分野では,最近,四半世紀の間に世界中で発見された新しい病気・病態のうち実に5分の1が少数メンバーのわれわれのグループでなされたのは単に幸運だけではなく,それなりの必然性があった.それは甲状腺は理論的に構築された機能検査を駆使することができるからである.そこで,すでにほかで紹介した内容と重複する部分もあるが,そのアプローチを分類し,われわれの経験を例に述べてみたい.
第1のアプローチは「新しい技術・評価法の導入」である.分子生物学など新しい技術の導入が有力な武器となるのはいうまでもないが,ありきたりの検査法でも評価法を工夫することで新しい病態発見につながる.抗甲状腺自己抗体をみるマイクロゾームテストが開発された当時,いわゆる正常人でも陽性に出ることから特異性に乏しい検査と思われていたが,大阪大学の網野信行教授は,甲状腺の組織と対比した結果,本検査が微細な自己免疫病変を反映することを証明し“潜在性自己免疫性甲状腺炎”という概念を提唱した.
第1のアプローチは「新しい技術・評価法の導入」である.分子生物学など新しい技術の導入が有力な武器となるのはいうまでもないが,ありきたりの検査法でも評価法を工夫することで新しい病態発見につながる.抗甲状腺自己抗体をみるマイクロゾームテストが開発された当時,いわゆる正常人でも陽性に出ることから特異性に乏しい検査と思われていたが,大阪大学の網野信行教授は,甲状腺の組織と対比した結果,本検査が微細な自己免疫病変を反映することを証明し“潜在性自己免疫性甲状腺炎”という概念を提唱した.
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