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スピンエコー法
著者: 田中邦雄1
所属機関: 1旭川医科大学医学部附属実験実習機器センター
ページ範囲:P.1012 - P.1012
文献購入ページに移動 NMRの測定法として,一般にパルスフーリエ変換NMRが用いられる.高周波を短時間パルス的に照射する方法で,静磁場方向(z)にある平衡磁化をこれと直交するx,y平面に引き倒す90°パルスと,-z方向に反転させる180°パルスが用いられる.90°パルスと180°パルスの組み合わせ(パルスシーケンス)で種々の測定ができる.最も代表的なものは,180°-t-90°によるT1緩和時間を測定する反転回復法(inversion recovery;IR)と90°-t-180°によるT2緩和時間を測定するスピンエコー法(spin echo;SE)である.本稿ではその原理を簡単に紹介する.
図1にSE法におけるパルスシーケンスとエコー信号の関係を示す.90°パルス印加によりz軸方向にある磁化はy方向に倒れる.その後,磁化のy成分(横磁化)は時間とともに減少していく.90°パルス印加からt時間後に180°パルスを印加すると,それからt時間後に信号が観測される.90°パルス印加から2t時間後に信号が観測されることから,これをスピンエコーと呼ぶ.このときの磁化の様子を図2に示す.90°パルスによって磁化はy軸上に倒れる(b).その後t時間の間にxy面上で核スピンはバラバラになっていく(c).これは核スピンの位相が静磁場の不均一性と,横(スピン-スピン)緩和過程に基づいてずれることによる.
図1にSE法におけるパルスシーケンスとエコー信号の関係を示す.90°パルス印加によりz軸方向にある磁化はy方向に倒れる.その後,磁化のy成分(横磁化)は時間とともに減少していく.90°パルス印加からt時間後に180°パルスを印加すると,それからt時間後に信号が観測される.90°パルス印加から2t時間後に信号が観測されることから,これをスピンエコーと呼ぶ.このときの磁化の様子を図2に示す.90°パルスによって磁化はy軸上に倒れる(b).その後t時間の間にxy面上で核スピンはバラバラになっていく(c).これは核スピンの位相が静磁場の不均一性と,横(スピン-スピン)緩和過程に基づいてずれることによる.
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