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文献詳細

雑誌文献

検査と技術22巻12号

1994年11月発行

文献概要

検査データを考える

抗血栓症剤使用時の凝固線溶検査

著者: 川合陽子1

所属機関: 1慶應義塾大学病院中央臨床検査部

ページ範囲:P.1013 - P.1017

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はじめに
 近年,血栓性疾患が増加し,日本人の死因の上位を占めるようになった.血栓症の原因究明およびその治療薬や予防薬の開発も目覚ましい.従来,血栓症の治療薬として中心的役割を果たしているのが,急性期に繁用されるヘパリン,その後の経口抗凝固薬であるワーファリンである.またアスピリンを代表とする抗血小板剤の投与も頻度が高い.これらの薬剤は新たな血小板血栓やフィブリン血栓の生成を防ぐ作用が主であり,病態の進展を抑えるという意義が大きい.近年,積極的に血栓を溶解する治療法が急性期になされるようになり,“血栓溶解療法”と呼ばれる.代表的な薬剤はウロキナーゼ,最近では組織型プラスミノゲンアクチベータ(t-PA)の臨床応用が盛んで,遺伝子工学により生産される薬剤の開発が著しい.薬剤の投与時期や投与量などが欧米や本邦では異なっており,さらに出血の危険性と血栓症の再発が問題である.このような問題点の解決法の1つとして,薬剤投与前,投与後の凝血学的検査の変動の検討が多くなされている.凝固亢進や線溶亢進を測定する検査は,両者が亢進する代表的な疾患“汎血管内凝固症(DIC)”の検査として開発され,一般に普及してきたが,血栓症の病態の診断や治療経過のモニタリングに応用されるようになった.
 そのほかの抗血栓症剤としては,主に動脈血栓の治療薬として抗血小板剤の開発が盛んで,作用機序の異なるものが次々と臨床応用されている.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1375

印刷版ISSN:0301-2611

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