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文献詳細

雑誌文献

検査と技術22巻13号

1994年12月発行

文献概要

検査ファイル

アクチビンAと肝再生の制御

著者: 安田宏1 峯徹哉1 小島至2

所属機関: 1東京大学医学部第四内科 2群馬大学生体調節研究所

ページ範囲:P.1102 - P.1102

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[1]アクチビンについて
 アクチビンは腫瘍増殖因子β(transforming growth factor β;以下TGF-β)遺伝子ファミリーに属する分子量25,000の二量体蛋白であり,もともと卵胞液中より卵胞刺激ホルモン(FSH)分泌抑制因子であるインヒビンを分離,精製する際に,逆にFSHの分泌を刺激する因子として分離された.その構造は特徴的で同じファミリーに属するインヒビンのβサブユニットの二量体という構造を持っている.βサブユニットはβAとβBの2種類存在することから3種類のアクチビンが存在し,それぞれアクチビンA(βAホモダイマー),アクチビンAB(βABヘテロダイマー),アクチビンB(βBホモダイマー)と呼ばれている.アクチビンは局所において産生され作用し,細胞の分化や増殖に大きな影響を及ぼしている.また発生の過程でアクチビン遺伝子が初期胚において発現し中胚葉誘導を行うことが明らかになっている.
 アクチビンは,卵胞液から分離されたこともあり,インヒビンとともに婦人科領域ではよく知られていたが,内科医にとってはなじみの薄い物質であった.ところが最近このアクチビンが骨髄,神経系,副腎などに加えて肝や膵ラ氏島にも存在し,その機能を制御していることが明らかとなり,また動脈硬化との関連も想定されてきた1).本稿では肝再生におけるアクチビン病の作用について紹介する

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1375

印刷版ISSN:0301-2611

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