文献詳細
文献概要
マスターしよう検査技術
心エコー図法の検査技術
著者: 遠田栄一1 大和京子1 高師里美1 寿賀敏光1
所属機関: 1三井記念病院中央検査部生理検査室
ページ範囲:P.217 - P.223
文献購入ページに移動超音波を心臓の検査に初めて応用したのはスウェーデンのEdlerら(1954年)であった.現在のMモード法と呼ばれるもので僧帽弁前尖の描出しかできなかったため,主に僧帽弁狭窄症の診断に用いられていた.この方法が僧帽弁のみならず,心膜腔液貯留や左室肥大,心機能評価などに応用され,一躍脚光を浴びるようになったのは1960年代後半である.また,心エコー図法の中心である断層法は1965年,田中らが世界に先駆けて実用的な装置を報告し注目を集めた.この方法は後に機械走査,電子走査へと発展し,1970年代後半から飛躍的な普及を遂げた.一方,血流情報を得るドプラ法については1957年の里村らの報告が最初で,その後多くの研究者の努力により現在のカラードプラ法(1982年,滑川ら)へと発展した.また,体表からの欠点を補う方法として最近注目を集めている経食道心エコー図法は,久永らが最初に報告したものである.このような先人の独創的な研究,とりわけ日本の医師,研究者の努力により,心エコー図法は循環器領域における非侵襲的検査法の中心となっている.ここでは心エコー図検査の記録法を中心に解説する.
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