文献詳細
文献概要
生体のメカニズム 遺伝子の異常・4
発癌遺伝子の発現と活性化
著者: 山村研一1
所属機関: 1熊本大学医学部遺伝発生医学研究施設
ページ範囲:P.355 - P.358
文献購入ページに移動はじめに
20年前に筆者が医学部を卒業するころは,癌の原因として放射線,化学発癌物質,ウイルス,そして遺伝的なものなどが考えられ,相互に関連なきものとしてとらえられていた.しかし,現在では誘因は何であれ,細胞内の遺伝子の異常によって癌が引き起こされることが明らかになっている.癌化に関与する遺伝子として,癌遺伝子と癌抑制遺伝子が単離同定されてきたが,この研究の中で培養細胞を用いた系の果たした役割は大である.しかし,癌は本来個体の中で正常な活動を行っていた細胞が遺伝的変化を生じ発生するということと,癌細胞が独立した環境下で発生するのでなく周囲の細胞の影響を受けながら癌化するので,個体の系による癌研究が必要である.このための手段としてトランスジェニックマウスは極めて有効である.本稿では癌遺伝子導入マウスを用いて明らかにされた知見についてまとめてみたい.
20年前に筆者が医学部を卒業するころは,癌の原因として放射線,化学発癌物質,ウイルス,そして遺伝的なものなどが考えられ,相互に関連なきものとしてとらえられていた.しかし,現在では誘因は何であれ,細胞内の遺伝子の異常によって癌が引き起こされることが明らかになっている.癌化に関与する遺伝子として,癌遺伝子と癌抑制遺伝子が単離同定されてきたが,この研究の中で培養細胞を用いた系の果たした役割は大である.しかし,癌は本来個体の中で正常な活動を行っていた細胞が遺伝的変化を生じ発生するということと,癌細胞が独立した環境下で発生するのでなく周囲の細胞の影響を受けながら癌化するので,個体の系による癌研究が必要である.このための手段としてトランスジェニックマウスは極めて有効である.本稿では癌遺伝子導入マウスを用いて明らかにされた知見についてまとめてみたい.
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