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文献詳細

雑誌文献

検査と技術22巻5号

1994年04月発行

文献概要

話題

MRSA PBP 2'の検出

著者: 斎藤充弘1

所属機関: 1ダイナボット(株)総合研究所

ページ範囲:P.37 - P.37

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 MRSA(メチシリン耐性黄色ブドウ球菌)は,院内感染原因菌の1つとして近年注目されている.MRSAは多くの抗生物質に耐性であり,特に今日多量に使用されているペニシリン,セフェムなどβラクタム剤が有効ではなく,その治療にはバンコマイシンなど数種の薬剤が有効とされている.
 PBP 2'(ペニシリン結合蛋白2プライム)は黄色ブドウ球菌を含むブドウ球菌の耐性に関与する.ブドウ球菌は数種類のPBPを有しており,これらが細菌細胞壁合成酵素として働いている.抗生物質,特にβラクタム剤はこれらの酵素に結合し酵素を不活化し,その結果,細胞壁の合成ができず菌は死に至る.ところが,PBP 2'は抗生物質とあまり結合せず,抗生物質があっても細胞壁合成酵素の作用を持ち菌を増殖させる.したがって,PBP 2'を産生するブドウ球菌は多くの抗生物質が有効ではない耐性ブドウ球菌である.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1375

印刷版ISSN:0301-2611

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