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免疫検査における偽陰性・偽陽性
著者: 島川宏一1
所属機関: 1天理よろづ相談所病院臨床病理部
ページ範囲:P.54 - P.54
文献購入ページに移動 免疫学的手法を用いた検査において,偽陰性(false-negative)・偽陽性(false-positive)はしばしばみられる反応であり,特に患者血清を試料とする検査では,原疾患や治療条件なども含めてさまざまな要因が考えられる.例えばγ-グロブリン製剤投与時のウイルス抗体の偽陽性や,沈降反応における地帯現象および免疫抑制剤投与時など,免疫不全状態における偽陽性は代表的なものといえよう.また,単純な検体採取時の汚染や採取不十分なども原因となりうる.
最近,臨床からの感染症迅速診断の要求が高まり,この分野での免疫学的検査が急速に発展している.よく用いられる方法として,細菌の同定にも広く用いられている凝集反応や沈降反応あるいは蛍光抗体法などがある.このうち抗体検出においては,“抗体検査は感染症の裏側を見ているにすぎない”とよくいわれるように,その感染症を正確にとらえられている例は少ない.一方,抗原検出においては,感染症起因菌の抗原因子をとらえるものや,産生する毒素や代謝産物をとらえるものなどがあるが,その使用方法については十分注意する必要がある.例えば目的菌と抗原構造の似通った他の菌との交差反応が問題となったり,脳脊髄液,咽頭粘液あるいは便などのような材料は,抗原(多糖体や糖蛋白など)の抽出や精製などといった前処理が必要となる.
最近,臨床からの感染症迅速診断の要求が高まり,この分野での免疫学的検査が急速に発展している.よく用いられる方法として,細菌の同定にも広く用いられている凝集反応や沈降反応あるいは蛍光抗体法などがある.このうち抗体検出においては,“抗体検査は感染症の裏側を見ているにすぎない”とよくいわれるように,その感染症を正確にとらえられている例は少ない.一方,抗原検出においては,感染症起因菌の抗原因子をとらえるものや,産生する毒素や代謝産物をとらえるものなどがあるが,その使用方法については十分注意する必要がある.例えば目的菌と抗原構造の似通った他の菌との交差反応が問題となったり,脳脊髄液,咽頭粘液あるいは便などのような材料は,抗原(多糖体や糖蛋白など)の抽出や精製などといった前処理が必要となる.
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