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遺伝子検査と免疫検査の利点と欠点
著者: 久保信彦1 剛勇1
所属機関: 1自治医科大学大宮医療センター総合医学講座(Ⅰ)
ページ範囲:P.66 - P.66
文献購入ページに移動 遺伝子が取り扱う技術が飛躍的に発展したために,臨床検査領域で遺伝子検査が可能となっている.外因性の遺伝子(これまで同定が困難であったウイルス,細菌,原虫などの病原体の遺伝子)の検出による感染症の診断,内因性の遺伝子(癌関連遺伝子を含む病因遺伝子)の検出による各種疾患の診断などに利用されている.遺伝子病の場合など疾患の原因の根本を確実に把握できることから,この検査の将来に期待するところは大きい.しかし,医療費抑制が叫ばれる昨今,遺伝子検査の体制を確立するだけの資金的余裕は一般臨床検査にはない.業者が開発するキットは(莫大な特許料,開発費などのあおりを受けて)高額で,したがって臨床検査として遺伝子検査を行う場合,負担は相当なものとなろう.また,内因性遺伝子の検査結果は,その個人の近未来を予言するのみならず,血族,子孫までに影響する極めて重大でデリケートな問題であることに留意すべきであろう.他の検査にも増して検査倫理が要求される1)が,この重要性は以外と認識されていないように思われる.
血清学的に患者の感染抗体を測定することにより各種の感染症が裏づけられ,各種の自己抗体の存在が自己免疫疾患との関連で明らかになっている.しかし,免疫検査に限らず正常と異常をクリアカットに分ける検査は存在せず,検査を行うごとに健康人の20人に1人の割合で偽陽性が生まれている(健康人の95%を参考値幅とした場合).
血清学的に患者の感染抗体を測定することにより各種の感染症が裏づけられ,各種の自己抗体の存在が自己免疫疾患との関連で明らかになっている.しかし,免疫検査に限らず正常と異常をクリアカットに分ける検査は存在せず,検査を行うごとに健康人の20人に1人の割合で偽陽性が生まれている(健康人の95%を参考値幅とした場合).
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