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文献詳細

雑誌文献

検査と技術22巻5号

1994年04月発行

文献概要

話題

肝細胞増殖因子(HGF)の臨床応用

著者: 石井健久1

所属機関: 1三菱化成総合研究所応用生物研究所

ページ範囲:P.73 - P.73

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 肝細胞増殖因子(hepatocyte growth factor;HGF)は,肝細胞の増殖を強力に誘導する因子として見いだされたサイトカインである.われわれは,関西医大・鹿児島大と共同でヒトHGF cDNAをクローニングし,現在,遺伝子組換えによりrecombinant human(rh)HGFを大量に取得して,医薬応用に向け研究を進めている.
 rhHGFは肝以外の細胞にもさまざまな生理作用を発揮することが判明しているが,①肝障害に伴ってHGF産生が増強し,かつ活性型HGFにプロセスされる,②肝細胞の増殖と機能をともに促進する,③肝組織の構築に必要な血管内皮細胞・胆管上皮細胞の増殖も促進する,および④ラットにrhHGFを投与すると速やかに肝に集積して肝細胞内に取り込まれることから,特に種々の肝疾患に対する適用が期待されている.実際,ラット肝の一部を切除した肝再生モデルおよびCCl4やα-ナフチルイソチオシアネート(ANIT)投与による肝障害モデルにrhHGFを適用すると,肝再生促進・肝障害抑制・アルブミンなど肝特異的蛋白合成促進・ヘパプラスチンテストやプロトロンビン時間の改善などが認められた.今までに,問題となるような副作用は見いだされていない.

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1375

印刷版ISSN:0301-2611

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