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文献詳細

雑誌文献

検査と技術22巻5号

1994年04月発行

文献概要

話題

腫瘍壊死因子(TNF)

著者: 杣源一郎1

所属機関: 1帝京大学生物工学研究センター基礎部門Ⅰ,Ⅲ

ページ範囲:P.104 - P.104

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 腫瘍壊死因子(tumor necrosis factor;TNF)は生体制御機構の中心的なサイトカインとして注目される一方,自己免疫疾患などの種々の疾病との関連で臨床的にも重要である.
 TNFは,主要組織適合抗原遺伝子(ヒトではHLA,マウスではH2)に連鎖して存在する2種の遺伝子によってコードされ1),蛋白としてはアミノ酸配列の上で,相同性のある2種の生理活性物質の総称である.これら2つはそれぞれTNFα,TNFβと呼ばれるがTNFβは従来リンホトキシン(LT)といわれていたものである.TNFαおよびTNFβは,生体でさまざまな細胞が分泌産生するが,ことにTNFαは,活性化を受けたマクロファージに由来する液性因子の中でも最も多彩な生理活性を持つ物質の1つである2).TNFαはTNFβとは異なり,容易に組み換え体が作製でき,純品が入手できるため,現在までその生物活性について広く解析が行われている.TNFα,βとも,前駆体の存在が知られており,通常の蛋白とは異なって前駆体が細胞表面に発現することで,局所的な細胞介在性の機能を発現する一方,前駆体の細胞外にある部分がプロテアーゼの分解によって遊離し,全身的な作用をも発現する3).活性発現は2つの受容体(55k,75k)を介するとされるが,詳細はまだ十分解明されていない4)

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1375

印刷版ISSN:0301-2611

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